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歯周病と糖尿病と関係

歯周病と糖尿病と関係 ~一方通行ではない~

糖尿病と歯周病は共に代表的な生活習慣病で、生活習慣要因として食生活や喫煙に関与します。以前から歯周病は三大合併症といわれる腎症・網膜症・神経症に次いで第6番目の糖尿病合併症と呼ばれています。一方で糖尿病は喫煙と並んで歯周病の二大危険因子であり、両者は深い相互関係にあります。

治療の面からそれぞれをとらえると、慢性炎症である歯周炎を良好な状態で維持することで、糖尿病のコントロール状態が改善する可能性が示唆されています。

 糖尿病が及ぼす歯周病への影響 ~糖尿病の人は、歯周病になりやすい。

歯周炎は、歯周ポケットに入り込んで繁殖したPg菌などの歯周病原因菌の感染による慢性の炎症性疾患です。その発症様式は、遺伝的因子や環境的因子など加えて、全身の抵抗性が大きく関与しているといわれています。そのため糖尿病により、からだを守る免疫機能、マクロファージの機能低下・結合組織コラーゲン代謝異常・血管壁の変化や脆弱化(細小血管障害)・創傷治癒の遅延などが起こり、歯周病の発症・進行に影響を与えます。その結果、糖尿病があると歯周病原因菌により感染しやすくなり、炎症により歯周組織が急激に破壊され、歯周炎が重症化していきます。

以下に2013年、2019年に日本糖尿病学会が発表したガイドラインをご紹介します。ご覧頂くとわかるように、いずれもこの二つの疾患の密接な関連性を示しています。

特に歯周病治療による糖尿病の血糖コントロールの有効性については、2013年ではグレードBであったものが、2019年発表のガイドラインではグレードAに格上げされています。

このことからみても、糖尿病患者においては口腔内の状態を健康に保つ歯周治療の重要性が今後さらに高まっていくことが予想されます。

糖尿病と歯周病に関するガイドラインの比較
科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013
  • 糖尿病と歯周病の関係 (グレードA)
    • 糖尿病と歯周病は相互に負の影響を与える。したがって患者様に糖尿病と歯周病の関連性を説明し、定期的に歯科を受診して口腔状態を評価し、必要に応じて歯科治療を行うべきである。 
  • 糖尿病患者における歯周病 (グレードA)
    •  糖尿病患者は健常者と比較して歯周病の有病率が高く、より重症化していることが多い。
    • とりわけ血糖コントロールが不良な患者ほど歯周病の重症度が高く、より進行するリスクが高い。
  • 歯周病が糖尿病の発症、病態に及ぼす影響 (グレードB) 
    • 歯周病患者は、非歯周病者に比較して糖尿病の有病率や発症リスクが高い。また重度の歯周病を未治療のまま放置していくと糖尿病の血糖コントロールに悪影響を与える可能性がある。
  • 歯周治療が血糖コントロールに与える影響 (グレードB)
    • 歯周病を有する2型糖尿病患者に歯周治療を行うとHbA1C値が改善する可能性がある。
糖尿病診療ガイドライン2019
  • 糖尿病は歯周病の発症や進行に影響を及ぼすか?(ステートメント)
    • 1型糖尿病患者では若年者の健常者に比べて歯周病の発症率が高い
    • 2型糖尿病患者ではHbA1c 6.5%以上になると、歯周炎の発症や歯槽骨吸収の進行のリスクが高まる
  • 糖尿病治療は歯周病の改善に有効か?(グレードB)
    • 糖尿病治療により歯周組織の炎症は改善することがある'
  • 糖尿病は血糖コントロールに影響するか?(ステートメント)
    • 歯周病は慢性炎症として血糖コントロールに悪影響を及ぼすことが疫学的に示されている'
    • 歯周炎の重症度が高いほど血糖コントロールが困難になる'
  • 歯周治療は血糖コントロールの改善に有効か?(グレードA)
    • 2型糖尿病では歯周治療により血糖が改善する可能性があり、推奨される

このように今後さらに歯周病と糖尿病の相互関係はいろいろな臨床、基礎研究により解明されていくと思われ、注目していきたいと思います。

歯周病は「沈黙の病気」~糖尿病専門医研修ガイドブックより~

2016年に発表されたこのガイドブックでは医科から見た、糖尿病と歯周病の相互関係について、以下のように詳しい解説が掲載されていますので、ご興味がある方はご覧ください。

  • 歯周病はグラム陰性偏性嫌気性菌の感染で惹起される感染症であり、細菌感染は歯根に沿うかたちで歯の支持組織を破壊しながら深部に進行する。したがって感染が深部へ波及すればするほど嫌気度が上昇するため嫌気性菌がより増殖し、疾患の進行が促進されるとともに、生体全体に軽微な炎症が惹起されるようになる。
  • ただ歯周病は一般に沈黙の病気とよばれ、かなり重症化するまで重篤な自覚症状が現れない。しかしながら糖尿病患者で強い口臭があるなどの徴候があれば歯科へ照会をかけることが求められる。すなわち、多量の嫌気性細菌が棲息していると推察される場合や、実際に歯周病の臨床症状を訴える場合などがこれにあたる。
  • また口腔以外の生体に特に炎症所見がなくまた肥満度もさほどでもない(体格指数がおおむね25kg/m2前後)にもかかわらず、炎症マーカー(高感度CRPなど)が高値を示す場合やHbA1cが期待するほど低下しない場合なども、歯周炎症の存在を疑う必要がある。
  • 歯周病の治療の基本は感染源の除去と再発防止(再感染の予防)である。感染源の除去には専門の知識や技術を要するため。歯科との連携が必須である。
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