病院で手術などを受ける際のお口のケア
病院で外科的手術などを受けられる際のお口のケアについてご説明します。当院では医科歯科の連携を積極的に実施しており、お困りの患者様のサポートを行っております。
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病院に入院して手術などを受けるときにお口のケアは必要なのでしょうか?
入院前からのお口のケアを強くお勧めいたします。ご紹介する様々なトラブルを未然に防ぐことができます。この治療のことは「周術期口腔機能管理」とよばれ、平成24年から保険診療に導入されました。
ただし本邦では病院内に歯科がある施設は15%ほどです。これらの院内の歯科では専門の治療を中心に行っており、多くの施設では他の診療科の患者様の対応には手が回らないのが現状です。そのため病院外の歯科医院、クリニックでこのようなケアを行うことが現実的と考えられています。
外科などの手術などの場合どのようなトラブルがありますか。
外科、整形外科、呼吸器外科などで手術を行う場合、一般的には全身麻酔手術を行うことが多いです。その場合、手術中は口から肺につながる気管に太いチューブをいれて人工呼吸をする管理を行います。チューブ以外のものも最近は使用されていますが、基本的には無意識の状態で口と肺などの呼吸器官が直接接続される状態となります。そのため手術前からお口になかに細菌(プラーク)が多い状態であれば、そのまま人工呼吸などを行うと、その細菌による肺炎が起こるリスクが高まります。その結果、手術はうまくいってもほかの合併症で困った事態になることもみられます。また原因不明の熱などが続き、入院期間が長引いてしまうことも報告されています。
いつごろからどのような治療を受ければいいですか?
理想的には日常的にお口の中のケアを徹底していただくことが望ましいのですが、現実的には手術や抗がん剤などの治療を行うことが決まってすぐからスタートすることがよいと思われます。
さらに病院に入院される直前に専門的なお口のケアを行うことが望ましいです。このことは別のページにて詳しくご案内しますが、歯科にて専門的なお口のケアを行うことにより、約1週間はお口の中の細菌数を少なく保つことができることが明らかになっています。
どのような治療を受けたらいいですか?
難しい治療は何ひとつありません。
- 歯石除去も含めた歯や歯肉などのクリーニング
- 舌や頬などの粘膜に傷がつきやすい、とがった歯や義歯の調整
- 大きく動いている歯の固定や抜歯
- お口の中の保湿
ただし特に注目していただきたいことは、舌の清掃です。舌はお口の中で最も多くの細菌が棲みついています。手術の際のトラブルはこの細菌が最も関係するため、入院前から舌の清掃が必要です。
抗がん剤による治療を行うことになりました。
多くの抗がん剤は副作用として口内炎を作ることがわかっています。治療中にお口の中に多くの口内炎や粘膜の痛みが生じた場合、お食事が困難となり、またそのほかの副作用も合併することが多く、抗がん剤の治療を続けることが難しくなります。
手術と違って抗がん剤による治療は長期戦です。よく手術は短距離走、抗がん剤はマラソンに例えられます。そのため抗がん治療中は上記の手術の際のケアだけではなく、継続的なお口の中の保湿および清潔が必要となります。必要に応じて治療前からのお口のなかの保湿剤の使用をすることをお勧めしております。