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お口の中の細菌(微生物)は体の中で最も高密度です

お口の中の細菌(微生物)の濃度は大腸の中と同じ

食事を摂って、吸収、排泄する消化管は口から始まり食道、胃を介して大腸、肛門で終わります。驚くべきことに、消化管の入り口と出口、すなわちお口と大腸のなかの細菌の密度は同じと言われています。お口の歯垢(デンタルプラーク)と大腸には最大で1g中に1011個、唾液中は1g中に108個の細菌が存在しています。鼻水のなかの細菌数は105個であることから比べても、お口の中の細菌は桁違いに多いことがおわかりになると思います。これらの細菌は共同体(細菌叢、フローラ)を構成しており、通常はバランスをとって生息しています。腸管などの消化器や肺などの呼吸器には体の中を調整する免疫組織があり、うまく細菌を制御できますが、お口の中にはこのような制御を行うものは唾液だけしかありません。

そのためお体の問題でお口の手入れができなくなったり、様々な要因で唾液が減少するとお口の中の細菌は急激に増加することがわかってきました。さらにこれらの細菌は抗菌剤や洗口剤に抵抗するバイオフィルムという鎧を持ち合わしています。

バイオフィルム

細菌および細菌が産生する接着剤のような物質により、歯や粘膜の組織の表面に付着した集合体をバイオフィルムといいます。生活環境で水のあるところには多くの場合、バイオフィルムがみられます。(例:流しや花瓶の内部など)

口腔内のデンタルプラーク(歯垢)は典型的なバイオフィルムです。
口腔内常在菌・虫歯の原因細菌が歯表面に形成するバイオフィルムや歯周病原性細菌等が歯周ポケット内に形成するバイオフィルムは複数の微生物とそれらの産物で構成されていて、相互に影響を及ぼし、栄養源を融通し、薬剤に対して抵抗性を示すなどの共同体として存在しています。そのためバイオフィルムの中で「細菌は会話をしている」と呼ばれています。抗菌剤、洗口剤および抗体などの薬剤はこのバイオフィルムの中へ浸透しにくいため、効果はほとんど発揮できません。そのためバイオフィルムの外で効果のあった抗菌剤や抗体が実際には効きにくいことがわかってきました。
虫歯や歯周病を防ぎ、薬剤の効果を発揮させるためには一度このバイオフィルムを機械的に破壊する必要があります。この機械的なバイオフィルムの除去こそが、歯科が専門的に行う口腔ケア、治療ということになります。

舌の表面などなどに生息する細菌

意外な盲点~舌や口の中の粘膜に生息する細菌~

お口の中の歯や歯周ポケットなどの表面積は合わせると約100平方センチ程度といわれています。ほぼ手のひら一枚分です。そこに体内で最も高濃度の細菌、微生物が生息している、ということは上述の通りです。

この歯や歯の周りの部位の細菌のコントロールは非常に重要なことです。しかしあまり知られていませんが、お口の中の細菌の生息場所の意外な盲点として、舌の表面や頬などのお口の中の粘膜があります。特に舌の表面は図に示すように非常に複雑な入り組んだ構造をしています。この舌の表面の凹凸の部分を含めた表面積は上記の手のひらとは比べものにならないぐらい広く、なんとテニスコート半面分ぐらいと言われています。以前、市立池田病院で行った臨床研究の結果からは舌の表面の粘膜に存在する細菌数は歯の周りの細菌数とほぼ同じであるということがわかりました。またこの表面の上皮(図のピンク色の部分)は容易に剥離する構造になっています。

舌の表面の模式図 (GENES 全国学習情報データベースより)

パナソニック社製口腔内細菌カウンタ

この上皮の上の乗った細菌(微生物)は日常の食事の時に飲み込んだり歯磨き、うがいなどにより吐き出したして、通常はうまくバランスをとって、メンテナンスフリーの状態になっています。しかし体調を崩したり、寝たきりになったりすると粘膜の上の細菌は急激に増加することがわかりました。現在では、この細菌の数を写真のカウンターで簡単、短時間で計測、状態を評価することができます。

食事をするとお口の中はきれいになる?!

上記のカウンタを用いて、市立池田病院口腔ケアセンターで行った臨床研究により、お口の中の細菌数、清潔度は日常生活の変化やお体の状態により、大きく変動することがわかりました。以降詳細は後日公開予定

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